おかげさま

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今年の1月から毎月10日にアップしてきたこのコラムも早いもので今回で12回目となった。つまりは丸1年続いたことになる。最近ではこのコラムを読んでくれている方も増えてきて、さながら僕の名刺代わりになってきている感がある(本職はサラリーマンなのだけれど)。

いい区切りでもあるから過去のコラムをすべて読み返してみたのだが、11本すべてのコラムに手直ししたい気持ちになってしまった。

もちろん毎回公開するときは「これでよし」と思っている。それでも時間が経って振り返るとアラが見えてくる。言い回しがくどい、分かりづらい、悦に浸り過ぎている…など突っ込みどころが満載なのだ。

それを成長と言えるほど呑気な性格ではないけれど、この年齢になって「変化を自覚できる」ものを持てるのはなんだか嬉しい。

ある程度社会人生活が長くなると、蓄積された経験の中から答えを拾い上げることが増えてくるし、周りからも求められるようになってくる。それはそれでやりがいはあるのだけれど、自分の通ってきた道の中に答えがない、というのはやはりワクワクするし楽しいもの。

なるほど、「道楽」とはこういうことを言うのかもしれない。先人たちはうまいことを言うものだ。

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今年は新しくできた同年代の友人との交流が盛んだったような気がする(いつもありがとう)。

好むと好まざるに関わらず、いろんな関係性の人が増えてきて、好き嫌いとか、良い悪いとか、そんなシンプルな判断だけで生きられない年齢になった。あちらを立てればこちらが立たず、忖度を鎧にして振る舞う毎日で、気の置けない同年代の友人ができたことはとても嬉しい。

友人の中には、いろいろと手を出してみて「俺にはこれしかないんだ」と開き直り始める人もいれば、反対に「まだまだやれる可能性があるじゃん」と欲張り始めている人もいる(言葉にすると面倒くさい人たちだな)。

それでも彼らは「人にケチをつけている暇は一生訪れそうにない」という生き方をしている点で共通している。

誰か(何か)が自分を幸せにしてくれる、などという考えはとうに持ち合わせていない年齢になったつもりだ。それでも時折、「なぜ僕だけが」と舌打ちをしたくなるような気分のときもある。そういうときに必要なのは、励ましでも慰めでもなくて、自分で自分を「納得」させることなのだと思う。

納得させるめに必要なことは、上にあげた友人たちの所作にある。
そんなことに気付かせてくれた友人たちは本当にありがたい存在であり、しばらく僕の指針になりそうだ。

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先日、岐阜にある古民家を改装して、ひとりでゲストハウスを始めた知り合いの女性を訪れた。

築100年の物件の良さを残しながらも、現在にもフィットするように工夫された内装、そして現地で採れた野菜を中心とした美味しい夕飯、物音ひとつしない夜の静寂、夜空に瞬く満点の星。とにかくそこで過ごす時間はとても素晴らしく「長期滞在したい」と思ったほどだった。

夕飯を食べ終え岐阜の日本酒(岐阜の名酒「天領」)を飲みながら「すごいなぁ」と呟いた僕に、彼女はふっと小さく笑って「おかげさまでね」と言った。

僕はその言葉を聞いた瞬間に「自立」という言葉が頭に浮かんでいた。

ひとりでビジネスを始めた、という事実に対して浮かんだ言葉ではなかった。

誰かから差し出された手をありがたいと思うこと、もっとうまくやれたかもしれないという小さな後悔を抱えていること、そんないろんな感情をすべてしまいこんで「おかげさま」と言って納得してそこに立っていること。それができてはじめて「自立」なんだろうな、と思った。

納得するということは自立のスタートラインなんだ、と思ったら先ほどの友人たちの顔も浮かんだ。

そうか、彼らも自立している人たちなんだな、と思った。

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今年もたくさんの人に助けられた1年だった。誰かに助けてもらったこと、声をかけてもらったこと、そんな大小を頭の中に並べ、関わってくれたひとりひとりに「おかげさま」と、この場を借りて言わせてほしい。

今年関わってくれた人、ありがとう。
このコラムを読んでくれた人、ありがとう。
みなさんのおかげで僕はこうして楽しい日々を納得して過ごせています。

来年はどんな1年になるんだろう。
きっとまた、誰かに頼って生きていくのだと思います。それだけは、変わり続ける自分の変わらない部分としてハッキリとわかっている。

来年もどうぞよろしくお願いします。
それでは良いお年を。

文/写真:Takapi

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