Column

ゴールを掲げる

「君にとって、最終的に辿り着きたいゴールはなんだろう?」 最近知り合った人生の大先輩に仕事の悩みを聞いてもらったとき、僕の話を聞き終えた彼からそう問われた。 彼は続けて「君が今話してくれたことはたぶん間違ってないし、とて...

高を括るな

数年ぶりにマラソンのレースに出た。といっても距離はたかだか10マイル(16キロ)程度の市民マラソンだ。 高校時代は陸上部だった(と言ってももう20年近く前の話だが)。走ること自体は苦ではないし、実際に週末はジョギングをす...

僕の占い師

大物政治家や有名作家など、いわゆる各界の著名人が、思い悩んだときの最後の心の拠り所として占い師に頼るという話を、年末の酒の席で聞いた。 どんなに多くの取り巻きを抱えても結局は神頼みなのかと嘲笑する声もあれば、いやむしろ自...

おかげさま

今年の1月から毎月10日にアップしてきたこのコラムも早いもので今回で12回目となった。つまりは丸1年続いたことになる。最近ではこのコラムを読んでくれている方も増えてきて、さながら僕の名刺代わりになってきている感がある(本...

後味

先日、友人の会社が主催するパーティに招待されたときのことだ。 パーティ開始時間ギリギリに会場に入った僕は、受付にいる女性に名前を告げ、当日の案内のチラシを受け取った。「ごゆっくりお過ごしください」「ありがとうございます」...

ラオスにて思う

9月の最終週に、遅い夏休みをもらってラオスのルアンパバーンを旅行していた。 なぜ数ある国の中から旅先としてラオスを選んだのか。その答えは村上春樹の『ラオスにいったい何があるというんですか?』にある。読んでもらえればきっと...

明日の夕飯

「明日の夕飯、何食べたい?」 とある平日の夜、食卓で面と向かって夕飯を食べている妻にそう声をかけていた。ふだんのいつも通りの会話の流れで、何も考えずに出てきた言葉だった。 「ちょっと待って。今それを聞くの?」 とふきだし...

なんか、いろいろと、あるんだよ

「この打ち合わせ、やる意味があるのでしょうか」 目の前で繰り広げられている議論があまりに不毛に思えてつい口から出てしまった。先日の打ち合わせでのことだ。 途端に静まり返る会議室。その日初めてお会いした5人くらいの参加者の...

風邪をひいた拍子に

本格的に風邪を引いた。 風邪に本格もアマチュアもないのだろうけど、5年ぶりくらいに39度近い熱を出し、喉が腫れ上がって食事もろくにとれずにほぼ3日間寝込み、その間にポカリスエットを5リットルくらい飲んだのだからたぶん本格...

忘れることの傍らにはいつも

先日の土曜日、僕は友人と渋谷で会う約束をしていた。 渋谷駅から少し離れた待ち合わせ場所へ歩いて向かうなか、こちらに向かって歩いてくる人混みの中に見知った顔を見かけた。 「懐かしいな」と思うと同時に、彼と楽しく笑いあったい...

差し出した手の行き先

僕は一度だけ人の命を救ったことがある。 オールラウンドサークル(別称飲みサークル)で毎日のように飲み散らかし、毎週土曜日になれば京王線聖蹟桜ヶ丘駅近くの養老乃瀧(まだあるのだろうか)で100名規模の飲み会を催しては、泥酔...

微睡みの中で思う旅と日常

10分くらいだろうか。 ガタンガタンとリズムを刻む列車の小気味いい振動とうららかな陽射しに誘われてつい微睡んでいた。 起きぬけのジーンとする頭をもてあましながら車窓越しの景色に目をやる。 視界いっぱいに広がる田園風景、ひ...

ただ春を待つ

「君の文章は特別うまいわけじゃないんだよね。でも、なんとなくだけど、普段本を読まないような人たちが君の言葉に触れたら『文章って面白いかも』って思うような気がするわけ。だからお願いね、このコラム」 今振り返れば褒められてい...

数年ぶりの大雪が教えてくれたこと

昼に降り出した雪は夜になってもやむ気配を見せず、案の定というか、予定通りというか、とにかく僕が通勤で使っている路線のダイヤを麻痺させ、いつもより仕事を早めに切り上げて乗り込んだ電車も途中の駅でピタリと動かなくなってしまっ...

区切ること

2018年1月1日。 朝6時半にかけたスマートフォンのアラームで僕は目を覚ます。 昨晩の深酒を呪いながら(毎年のことだ)カナダグースのダウンを羽織って、カメラを持って家を出る。カナダグースの下は寝間着のままだ。 家のそば...